保健体育研究部 |
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| 種目の特性を十分に味わいながら誰もが楽しめる球技指導の工夫 | |||||
| ~中学3年生女子のバレーボール指導~ | |||||
| 文責任者 柴田 広祐 (磐周・豊岡中) | |||||
| Ⅰ | はじめに | ||||
| バレーボールは、返球の仕方を工夫して相手のミスを誘ったり、作戦的に攻めたりして、勝敗を競うところにおもしろさがある。特に、レシーブによって上がったボールをトス―アタックとつないで攻撃することや、苦しいボールをチームでがんばってつないで返球することにより、チームでプレーするおもしろさを味わうことができる。 | |||||
| 一方で、公式ルールではプレー中のボールの保持やバウンドしたボールをプレーすることが許されておらず、瞬時にボールをコントロールしないといけないことや、ラケットスポーツと異なり、素手で平らなレシーブ面やオーバーハンドパスの手の形を作らなければならないこと、テニスや卓球と比べて大きく重いボールをプレーすること、連携しなければならない人数が多いことなどにより、限られた学習時間の中で十分にゲームを楽しめる段階にまで高めることは容易ではない。 | |||||
| これらの困難な状況を指導方法の工夫によって解決し、限られた学習時間の中でも全員にバレーボールの特性を味わわせながら十分にゲームを楽しませたいと考え、本テーマを設定した。 | |||||
| Ⅱ |
研究実践 |
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1 |
生徒の実態 | ||||
| 小学校時代のジュニアバレーボール経験者や女子バレーボール部員と素人が混在する学習集団のため、個人差が大きく、ともすると技能の低い生徒が動かず、技能の高い生徒ばかりがプレーをしてしまいがちである。また、全員が上手にボールをコントロールできるわけではなく、レシーブ―トス―アタックという連携プレーによる攻撃よりもミスプレーによって得点が入ることが多い。そのため、バレーボールの特性である攻撃によって得点を得ることや難しいボールをつなぐおもしろさを十分に味わうことができない。 | |||||
| 一方で、1・2年生時における学習を通して、バレーボールに対する興味・関心・意欲などは高くなってきており、技能の低い生徒であっても練習やゲームに積極的に取り組んでいる。また、バドミントンやテニスにおいてチームで陣形や作戦を工夫することを学習してきたことにより、バレーボールにおいてもフォーメーションを工夫しようとする意識がある。 | |||||
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2 |
単元計画 | ||||
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学習活動 |
時数 |
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| オリエンテーションとパスを使ったミニゲーム(1・2年時の復習) |
1~2 |
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| トスとスパイクの練習 |
3 |
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| 三段攻撃の練習と試しのミニゲーム、チームでのミーティング |
4~5 |
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| 三段攻撃を意識したミニゲームとチームでのミーティング(レシーブとトス、スパイク技能を中心に) |
6~8 |
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| ブロックの基本と練習 |
9 |
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| 守備や攻撃のフォーメーションを工夫したミニゲームとチームでのミーティング(作戦や効果的なフォーメーション、個人の役割などについて) |
10~13 |
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3 |
指導方法の工夫 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 技能の低い生徒でも現在ある技能で十分にゲームができるように、コートや用具、ルールを工夫する。また、技能の高い生徒でも楽しめるように、公式ルールでプレーしたい場合は段階的に異なったルールを適用し、着用するビブスの色によって区別する。さらに、技能の高い生徒とそうでない者が積極的に関わり、フォーメーションや作戦を工夫する楽しさを味わえるような学習カードを用いて指導する。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| サーブはコート中から山なりのボールで投げ入れ。タッチネットなどの細かい反則は取らない。パスアタックでの得点は2点、スパイクでの得点は3点、ブロックでの得点は3点。触球制限とダブルコンタクト、キャッチボール、ワンバウンドのボールについては下表の通りとし、個人差に応じて適用するルールを変え、着用するビブスの色で区別する。 | |||||
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ビブス |
前半 |
後半 |
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| 触球数制限 |
全色 |
6回以内 |
4回以内 |
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| ダブル |
無 |
2触まで○ |
2触まで○ |
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| コンタクト |
黄 |
2触まで○ |
× |
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赤 |
× |
× |
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| キャッチ |
無 |
○ |
トスのみ○ |
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| ボール |
黄 |
トスのみ○ |
トスのみ○ |
|
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赤 |
× |
× |
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| ワンバウンド |
無 |
1跳まで○ |
1跳まで○ |
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| ボール |
黄 |
× |
× |
|
|
赤 |
× |
× |
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<ビブスの色によって適用するルールを区別> |
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| ○学習カードとチームミーティング | |||||
| カード表面は、ゲームに活気を持たせるために、スコアと得失点差を記入させる。また、学習上の重要なポイントについて意識をさせるために、それらを実行できた場合にボーナス点を与えたり、ボールコントロールを中心とした個人的技能の向上にも意識がいくように、ビブスを着用してより難しいルールでプレーした場合にもボーナス点を与えたりする。裏面はチームの課題と対策が自由に記入できるようにするとともに、フォーメーションの工夫についても考えられるようにコート図を入れ、チームでのミーティングの際にお互いに相談したり、アドバイスをしあったりさせる。ミーティングはゲーム前(短時間)、ゲーム間、ゲーム後と行う。また、授業終了後に学習カードを回収し、教師がアドバイスや称揚するコメントを記入する。 | |||||
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<学習カードを用いたミーティング> |
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<チームでの工夫が見られる学習カード裏面> |
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Ⅲ |
成果と課題 | ||||
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1 |
成果 | ||||
| 指導方法の工夫により、技能差や経験の差に関わらず、全員が三段攻撃や苦しいボールをがんばってつなぐゲームを展開することができた。単元後半では、全てのゲームにおいて、ネット際におけるアタッカーとブロッカーの攻防が展開され、さらに、ブロックと連携したレシーバーの守備も見られるようになった。また、学習カードを用いてミーティングを重視したことも、ひとりひとりがチーム内での役割を意識して守備や攻撃のフォーメーションを組み立てることにつながった。その結果、ゲームではどのチームも活気にあふれ、アンケート調査ではバレーボールの楽しさ(5段階)の平均値が「授業前3.5」から「授業後4.4」に向上するという結果を得ることができた。 | |||||
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2 |
課題と今後の展望 | ||||
| 特別ルールの採用により、集団的技能は大いに高まったが、「ノーバウンドでボールを弾く」というバレーボール独特の個人的技能を全生徒が十分に修得するまでには至らなかった。 | |||||
| 今後は、限られた時間の中でも効率良く個人的技能を向上させる指導方法を取り入れた単元構想を考えていきたい。また、今回の成果を生かして、技能の低い1年生の段階からでも、特別ルールなどの工夫をすることによりスパイクを用いた三段攻撃やブロックを軸としたチームでの守備が展開できる指導方法を追究していきたい。 | |||||



